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掲載日:2023.12.20
令和6年度税制改正大綱(賃上げ税制について)
令和6年度税制改正大綱(賃上げ税制について)

 令和5年12月14日、税制改正大綱が公表されました。今回は、賃上げ税制についてです。
 中小企業向け賃上げ税制については、控除限度超過額は5年間の繰越しが認められることとなります。これによって、控除しきれない金額があるときは、当該事業年度のみでなく、最長で5年間の繰越ができるため、特に当初確定申告で別表の添付漏れがないように留意する必要があります。(繰越ができるため、今までより、税額控除を失念してしまったときの影響が大きくなってしまいます)

以下、税制改正大綱の賃上げ税制の抜粋です。
(1)賃上げ税制の趣旨
 物価高に負けない構造的・持続的な賃上げの動きをより多くの国民に拡げ、効果を深めるため、賃上げ促進税制を強化する。 具体的には、従来の大企業のうち、物価高に負けない賃上げの牽引役として 期待される常時使用従業員数 2,000 人超の大企業については、より高い賃上げへのインセンティブを強化する観点から、継続雇用者の給与等支給額の3%以 上増加との現行の賃上げ率の要件は維持しつつ、継続雇用者の給与等支給額の増加に応じた控除率の上乗せについて、さらに高い賃上げ率の要件を創設し、従来の4%に加え、5%、さらには7%の賃上げを促していく。 また、従来の大企業のうち、地域における賃上げと経済の好循環の担い手と して期待される常時使用従業員数 2,000 人以下の企業については、新たに「中 堅企業」と位置付けた上で、従来の賃上げ率の要件を維持しつつ、控除率を見直し、より高い賃上げを行いやすい環境を整備する。
 一方で、中小企業においては、未だその6割が欠損法人となっており、税制措置のインセンティブが必ずしも効かない構造となっている。しかし、わが国の雇用の7割は中小企業が担っており、広く国民の構造的・持続的な賃上げを果たしていくためには、こうした企業に賃上げの裾野を拡大していくことは極めて重要な課題である。こうした観点から、本税制をより使いやすいものとしていくため、従来の賃上げ要件・控除率を維持しつつ、新たに繰越控除制度を創設し、これまで本税制を活用できなかった赤字企業に対しても賃上げにチャ レンジいただく後押しをする。具体的には、賃上げ促進税制の税額控除の額について、当期の税額から控除できなかった分を5年間という前例のない期間にわたって繰り越すことを可能とする。また、持続的な賃上げを実現する観点から、繰越控除する年度については、全雇用者の給与等支給額が対前年度から増加していることを要件とすることとする。
 これらの措置に加え、雇用の環境を改善するため、人材投資や働きやすい職場づくりへのインセンティブも付与することとする。具体的には、教育訓練費を増加させた場合の上乗せ要件については、令和4年度の適用実態等を踏まえ、 その適用に当たって一定程度の教育訓練費を確保するための措置を講じた上で、 適用要件の緩和を行い、活用を促進することとする。併せて、子育てと仕事の両立支援や女性活躍の推進の取組みを後押しする観点から、こうした取組みに積極的な企業に対する厚生労働省による認定制度(「くるみん」、「えるぼし」) を活用し、控除率の上乗せ措置を講ずる。これにより、賃上げ促進税制の最大控除率は、大企業・中堅企業については、現行の 30%から見直し後は 35%に、中小企業については、現行の 40%から見直し後は 45%に引き上がることとなる。その結果、賃上げ促進税制の位置付けは、賃金だけでない「働き方」全般 にプラスの効果を及ぼすような税制措置となる。
 中小企業の賃上げには、中小企業自身の取組みに加え、大企業等の取引先への労務費も含めた適切な価格転嫁も重要な要素となる。こうした観点から、「従業員への還元」や「取引先への配慮」が必要なマルチステークホルダー方針の公表が要件となる企業の範囲を、中堅企業枠の創設に伴い拡大することと する。また、インボイス制度の実施に伴い、消費税の免税事業者との適切な関 係の構築の方針についても記載が行われるよう、マルチステークホルダー方針 の記載事項を明確化する。 また、多額の内部留保を抱えながら賃上げや国内投資に消極的な企業に対し、その活用を促す等の観点から、特定税額控除規定の不適用措置について、要件を強化する。

(2)賃上げ税制の具体的内容
 (国 税)
(1)給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度について、次の措置を講ずる (所得税についても同様とする。)。
 ① 全法人向けの措置について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。
 イ 原則の税額控除率を 10%(現行:15%)に引き下げる。
 ロ 税額控除率の上乗せ措置を次の場合の区分に応じそれぞれ次のとおりとする。
 (イ)継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が4%以上である場合 税額控除率に5%(その増加割合が5%以上である場合には 10%とし、その増加割合が7%以上である場合には 15%とする。)を加算する。
 (ロ)教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が 10%以上 であり、かつ、教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の 0.05%以上で ある場合税額控除率に5%を加算する。
 (ハ)プラチナくるみん認定又はプラチナえるぼし認定を受けている場合 税額控除率に5%を加算する。
ハ 本措置の適用を受けるために「給与等の支給額の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針その他の事項」を公表しなければならない者に、常時使用する従業員の数が 2,000 人を超えるものを加える。
 ニ 本措置の適用を受けるために公表すべき「給与等の支給額の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針その他の事項」における取引先に 消費税の免税事業者が含まれることを明確化する。

 ② 青色申告書を提出する法人で常時使用する従業員の数が 2,000 人以下であるもの(その法人及びその法人との間にその法人による支配関係がある法人の常時使用する従業員の数の合計数が1万人を超えるものを除く。)が、令和6年4月1日から令和9年3月 31 日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、継続雇用者給与等 支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が3%以上であるときは、控除対象雇用者給与等支給増加額の 10%の税額控除ができる措置を加える。この場合において、継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が4%以上であるときは、税額控除率に15%を加算し、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が 10%以上であり、かつ、教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の 0.05%以上であるときは、税額控除率に5%を加算し、当期がプラチナくるみん認定若しくはプラチナえるぼし認定を受けている事業年度又はえるぼし認定(3段階目)を受けた事業年度であるときは、税額控除率に5%を加算する。ただし、控除税額は、当期の法人税額の 20%を上限とする。
 (注)資本金の額等が 10 億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が 1,000 人以上である場合には、給与等の支給額の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針その他の事項をインターネットを利用する方法 により公表したことを経済産業大臣に届け出ている場合に限り、適用があるものとする。

 ③ 中小企業向けの措置について、次の見直しを行い、控除限度超過額は5年間の繰越しができることとした上、その適用期限を3年延長する。
 イ 教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置について、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が5%以上であり、かつ、教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の 0.05%以上である場合に税額控除率に10%を加算する措置とする。
 ロ 当期がプラチナくるみん認定若しくはプラチナえるぼし認定を受けている事業年度又はくるみん認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を受けた事業年度である場合に税額控除率に5%を加算する措置を加える。
 (注)繰越税額控除制度は、繰越税額控除をする事業年度において雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超える場合に限り、適用できることとする。

④ 給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」に看護職員処遇改善評価料及び介護職員処遇改善加算その他の役務の提供の対価の額が含まれないこととする。

⑤ その他所要の措置を講ずる。


(地方税)
(1)給与等の支給額が増加した場合の付加価値割の課税標準からの控除制度について、次の措置を講ずる。
 ① 法人が、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各 事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、継続 雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が3%以上である等の要件を満たすときは、控除対象雇用者給与等支給増加額を付加価値割の課税標準から控除できることとする。
 ② 中小企業者等が、令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、雇用者給与等支給額の比較雇用者給与等支給額に対する増加割合が1.5%以上である等の要件を満たすときは、控除対象雇用者給与等支給増加額を付加価値割の課税標準から控除できることとする。
 (注)雇用安定控除との調整等所要の措置を講ずる。

(2)国税(1)の見直し及び延長に伴い、税額控除制度を中小企業者等に係る法 人住民税に適用する。

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