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掲載日:2024.12.27
令和7年度税制改正大綱
令和6年12月20日に令和7年度税制改正大綱が公表されました。
全文は、以下を参照してください。
 https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/zeisi_2025.pdf
そのうち、所得税・住民税関係で、いわゆる「103万円の壁」に関する改正をご紹介します。

1.令和7年度税制改正の基本的考え方
物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除等の見直しを行うとともに、就業調整対策の観点から、大学生年代の子等に係る新たな控除(特定扶養控除と同額の63万円)を創設する。
いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。

物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題がある。わが国経済は長きにわたり、デフレの状態が続いてきたため、こうした問題が顕在化することはなかったが、足元では物価が上昇傾向にある。一般に指標とされる消費者物価指数(総合)は、最後に基礎控除の引上げが行われた平成 7年から令和5年にかけて10%程度上昇し、令和6年も10月までに3%程度上昇しており、今後も一定の上昇が見込まれる。また、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価は平成7年から令和5年にかけて20%程度上昇 している。こうした物価動向を踏まえ、所得税の基礎控除の額を現行の最高 48万円から最高58万円に10万円、20%程度引き上げる。 給与所得控除については、給与収入に対する割合に基づき計算される控除であり、物価の上昇とともに賃金が上昇すれば、控除額も増加する。しかしながら、最低保障額が適用される収入である場合、収入が増えても控除額は増加しない構造であるため、物価上昇への対応とともに、就業調整にも対応するとの観点から、最低保障額を現行55万円から65万円に10万円引き上げる。また、現下の厳しい人手不足の状況において、特に大学生のアルバイトの就 業調整について、税制が一因となっているとの指摘がある。このため、19歳から22歳までの大学生年代の子等の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、親等が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられ、また、大学生年代の子等の合計所得金額が85万円を超えた場合でも親等が受けられる控除の額が段階的に逓減する仕組みを導入する。

さらに、扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件について、現行の基礎控除と同額の 48万円を、基礎控除の引上げを踏まえ、58万円とする。 以上については、源泉徴収義務者の負担にも配慮しつつ、令和7年から適用する。個人住民税については、「地域社会の会費」的な性格を踏まえ、所得税の諸控除の見直しのほか、地方税財源への影響や税務手続の簡素化の観点等を総合的に勘案し、給与所得控除の見直し、大学生年代の子等に関する特別控除の創設並びに扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件の引上げについて対応することとし、令和8年度分の個人住民税から適用する。 上記の所得税及び個人住民税の見直しについては、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除や給与所得控除の最低保障額が定額であることに対して物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源確保措置を要しないものと整理する。仮に今後、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、歳入・歳出両面の取組みにより、必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講ずるものとする。


2.令和7年度税制改正の具体的内容
物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応 (国税)
(1) 基礎控除
① 基礎控除について、合計所得金額が 2,350 万円以下である個人の控除額を10万円引き上げる。
② 上記①の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。
イ 合計所得金額が 2,350 万円以下である個人 58 万円
ロ 合計所得金額が 2,350 万円を超え 2,400 万円以下である個人 48 万円
ハ 合計所得金額が 2,400 万円を超え 2,450 万円以下である個人 32 万円
ニ 合計所得金額が 2,450 万円を超え 2,500 万円以下である個人 16 万円
③ 上記①の見直しに伴い、公的年金等に係る源泉徴収税額の見直し等の所要の措置を講ずる。
(注1)  上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。なお、給与等及び公的年金等の源泉徴収については、令和8年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について適用する。
(注2)  上記の改正に伴い生ずる公的年金等につき源泉徴収された所得税の額に係る超過額について、当該公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除く。)の支払者から還付等をするための措置を講ずる。
(2) 給与所得控除
① 給与所得控除について、55万円の最低保障額を65万円に引き上げる。
② 上記①の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表等について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。なお、上記②の給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)及び賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の改正については、令和8年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する。
(3)特定親族特別控除(仮称)
① 居住者が生計を一にする年齢19歳以上 23 歳未満の親族等(その居住者の配偶者及び青色事業専従者等を除くものとし、合計所得金額が 123 万円以下 であるものに限る。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額等から次のとおりの控除額を控除する。
② 上記①の控除については、控除額が一定額以上の場合には、給与等及び公的年金等の源泉徴収の際に適用できることとする。
③ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記①の改正は令和7年分以後の所得税について、上記②の改正は令和8年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について、それぞれ適用する。なお、給与所得者については令和7年分の年末調整において適用できることとするほか、所要の経過措置を講ずる。
(4)上記(1)から(3)までの見直しに伴う所要の措置
① 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。
② ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。
③ 勤労学生の合計所得金額要件を 85 万円以下(現行:75万円以下)に引き上げる。
④ 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を65 万円(現行:55万円)に引き上げる。
⑤ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。

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